日記・談義坊 /

あの日から72年。農業新聞コラム【四季】より


 【四季】8・6掲載
 あの日から72年。きょう被爆地広島で犠牲者の冥福と平和を祈る式典が開かれる▼「平和宣言」の中で松井一実広島市長は、核兵器のない世界に向けた取り組みを訴える。その日本が核禁止条約に参加しない。戦後ずーっと核兵器の廃絶を訴えてきた国なのにである。政府は「核兵器国と非核兵器国の対立を深める恐れがある」と説明するが、世界の人々の目には奇異に映るに違いない。唯一の被爆国の信用が揺らぐ▼条約の前文にある「ヒバクシャの容認しがたい苦しみと損害」への言及は重い。ヒロシマとナガサキの惨禍を繰り返してはいけない。そのことへの支持が広がっている。署名は9月から始まり、100カ国を超える参加が見込まれる。このうねりを広めることが日本政府の役目のはず▼昨年5月に米大統領として初めて広島を訪れたオバマ大統領との抱擁シーンが世界中に流れて「時の人」になった、歴史家森重昭さんの講演を聞いた。小学3年の時に橋の上で被爆した。その瞬間、水深40センチで水草の生い茂る川の中に吹っ飛ばされた。黒い雨が降った。その雨は「痛かった」と言う。校庭を掘って多くの遺体を焼くところを目撃した。「平和が一番」。考え続けた結論である▼核兵器の恐ろしさを考えて「平和宣言」に耳を傾ける。