日記・談義坊 /

農業新聞コラムを転載


農業新聞コラム[四季]2019・3・13掲載分

 作らず、持たず、持ち込ませず。非核三原則である▼佐藤栄作元首相のノーベル平和賞受賞は、この宣言によるところ大だが、顛末がひどい。後に米国との間で、沖縄への有事の核持ち込みを密約していたことが発覚した。平和賞返せコールも時すでに遅し、オバマ前大統領も「核なき世界」の演説で平和賞受賞。拙速な政治家への授与は禍根を残す。歴史の評価に耐えてこそ価値がある▼一方、イラストレーターみうらじゅんさんが唱えるのは「比較三原則」。仏教愛が高じて、伝道師任ずるみうら流の煩悩救済法である。人は誰かと、何かと比べるから落ち込み、悩む。そこで比較してはいけない三つのものが、過去の自分、親、友達や知り合い▼これが存外に難しい。「昔は良かった」「あの時ああしておけば」と過去の自分を引きずる。親との関係もしかり、偉大でもダメ親でも子どもは比べてしまう。近親ゆえに愛憎は募る。特に身近な友人や同僚とは比較しがちで、時にねたんだり、見下したりして自己嫌悪に陥る▼そのあたりの実践法は著書『マイ仏教』(新潮新書)に詳しい。比較三原則と合わせ、「僕滅運動」の“布教”にも力を入れ、自分を滅してこそ平和は訪れると説く。どこぞの指導者も「みうら教」の門徒になってはどうか。