日記・談義坊 /

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年


村上春樹ファンでもない私が、マスコミで素顔が紹介もされ、時の人にもなった彼の最新作『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を、「ブームに取り残されたらイヤダなぁー」ぐらいの気持ちで手に入れたのでした。

『IQ84』(「いちきゅうはちよん」って読むんだそうですね)、読んで見たいとは思いつつ、読破する自信なくて、挑戦しなかったのですが、今度の新刊は、村上春樹作品を読んだことのない人にとっては、読みやすいタイプの作品だと聞いて、購入したのです。

ところで、この村上春樹の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』をこれから、読もうと考えているあなた、この後は、自分で読んでから、目を通してください。

美代子さんも、そうしなさいよ。

 

この手の本は、読み慣れていないもんですから、現在36歳の「駅をつくる専門家」である多崎つくるの20歳のときに、自分の生きている感覚さえ遠くなってしまうような「突発的な環境の変化」、つくるを生きた屍に陥れた事態が現実にはなかなか飲み込めなかった。というより、主人公つくるの幽霊さながら本人の意思と離れた行動については、入り込めなかった。

表題の「色彩を持たない多崎つくる」は、幽霊(幽体)のように色彩を持たない「つくる」の意だったのでしょうか。

名古屋での高校時代、「仲良しグループ」以上の他が入る余地もない濃密な・秘密グループ的5人の仲間の話でもあります。

名古屋を離れて、一人、東京の大学に進んだ「多崎つくる」の20歳の時、帰省した彼は、かっての5人組から排斥(突如追放の宣告)され、「死の胃袋」に落ちたのです。

自分の高校時代の友達・友人関係を思い出し、重ね合わせながら、思考停止に入り、1週間ほど、この本をほっといたのでした。本を読む暇がなかったのですが。

手打に帰る船の中、途中までの復習読みもしながら、「多崎つくる」の思考回路に入り込んでみました。

「つくる」は、突然グループから絶交されて、何が何だかわからないまま死ぬほど悩み、なんだか生きている感覚が希薄なまま、36歳まで生きてきたのです。

そこで、ちょっと秘密めいた年上の恋人の助言を受け入れて、理不尽な絶交の理由を知るために、5人組の残りの人たちを巡る(巡礼)に出る「多崎つくる」だったのです。

途中で、本を読むのを止められなくなりました。読み終わったのは、午前2時過ぎでした。妻の美代子さん、灯りが気になるのか、「いつまで起きてるの!」と小言を。

結末は、伏せますが、小説ってのもおもしろいですね。

色彩と言えば、つくる以外の仲間、名前に色を付けているんです。

男に、アカとアオ。女友だちに、シロとクロ。

シロの不幸な死。アカとアオから、26年前の経緯を確かめ、今は、フインランドに移り住んでいるクロ(エリ)を訪ねる所が、クライマックスとして感動的です。

主人公「多崎つくる」は、自分を罪に落としたシロを、「非常事態だから」「つくるなら乗り切れるから」ということで自分を切り捨てた「自分の一部のように感じていた仲間たち」を、赦し、理解しようとします。

この本、美代子さんに置いてきましたが、読後感想はいかに。読むんでしょうかね?

この本を読まれたあなた、主人公「つくる」と沙羅のの関係のゆくえはどうなると想いますか?